親が突然亡くなり、思いがけず遺産が転がり込んできたという話は良く聞く話です。しかし、遺産の中には負債も含まれていますので借金が残ってしまったというケースもあるそうです。プラスの財産よりも多額の負債が目に見えて判る場合は、財産放棄という選択肢を選ぶ事が出来ます。しかし、音信不通で遺言書や財産目録が書かれていない場合、どの様な遺産が残されているかがはっきり判る事は中々ありません。この様な遺産を完全に相続して、後々多額の負債が発覚したとなっても残念ながら、相続の放棄は行う事が出来ないのです。この様なケースで行われる遺産相続の方法が“相続の限定承認”というやり方です。

司法書士 郡山

相続の限定承認とは、相続した負債の額がプラス財産よりも低い場合は余った額を相続することが出来て、プラスの財産よりも負債の額が大きかった場合は、相続した財産を処分する事で一部を弁済し、残りの額は弁済しなくても良いという制度です。相続者にとって、とてもプラスになる相続方法ですが、実際にこの方法を取る相続者は殆どいないのが現実です。なぜなら、手続き方法の複雑さがネックになるからなのです。

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限定承認申請の問題となるのが、申請を相続人全員で行わないといけないという点です。相続人が一人だけなら、その人だけで行う事が出来ますが、相続人が5人6人と居るのであれば、その全員が行う必要が有るのです。次に問題となるのが財産目録の作成です。故人が残した財産をプラスの財産から負債まで全てを調べ上げ、目録として作成しなければならないのです。その後は官報へ公示を行い、不動産の競売を行い現金と合わせて債権者への返済を行います。これらの手続きを素人の私達が簡単にできる訳でもありませんので、弁護士や行政書士に頼む事が多く、その費用も捻出しなければならないのです。

法務省:借金等の返済が困難となった被災者の方へ

また、通常通り相続していれば必要でなかった税金が掛かる事も有ります。不動産等の財産を一旦競売に掛け現金化する事で、収入があったとみなされその額に対して税金がかかってくるという訳なのです。実際には財産と負債がトントンだった場合でも、余計な税金と弁護士などへの費用等でマイナスになる事も有るという訳なのです。疎遠で財産の内容が不明であった場合でも、焦って限定承認と言う方法に走るのではなく、まずは財産を徹底的に調べ上げ、負債が多いのであれば相続放棄を選択する方が良いのではないでしょうか。